ここだけのお話。

三立て=美味しい?

蕎麦を美味しく味わうための定義のように「三立て」なんて言われていますよね。三立て、つまり挽き立て・打ち立て・茹で立てが美味しいよね、ということです。

しかし巷で「打ち立てはちょっと違うでしょ」と囁かれて久しいですが、そうなんです。打ったばかりの蕎麦は粉と水が馴染んでおらず、そこに包丁を入れたり茹でたりすると美味しくないんです。特に十割そばを提供しているとぼろぼろに切れてしまうことも。さらに挽き立てについても香りがあって美味しい、というのはわかりますが、前提として蕎麦が鮮度良く保たれていることが必須です。劣化した蕎麦は挽き立てでも美味しくありません。

そんな三立てのお話ですが、現場の人間としての感覚としてお話させてもらうと蕎麦を美味しく食べるために重要なのは三立てではないと思っています。

上記に書いた通り、挽き立ては前提があってこそ。大事なのはこの前提の部分。蕎麦の鮮度を保つことが何よりのポイントだと思っています。みなさんが思っている以上に蕎麦は非常に繊細です。製粉工場さんも注意喚起しているように、蕎麦は米や麦よりも劣化しやすいし、あまりに管理を怠ってしまうと虫が発生したりします…。だからこそ蕎麦は保存方法が肝なのです。

そんな中、当店では十割熟成蕎麦と謳っておりますが、蕎麦専用の保管倉庫で保存しております。当然ながら温度・湿度は徹底的に管理しており、鮮度を保ったままじっくりと蕎麦を熟成させております。

新そば=美味しい?

単刀直入に申し上げますが、新そば100%の蕎麦は美味しくないです。
蕎麦に限らずなんでもそうなのですが採れたてよりも少し時間を置いた方が香りで出てきたり旨味が増すものです。

新そばに近いものとして、ワインのボジョレーヌーボー解禁のお祭りがありますよね。
あれもワイン好きな方からすると、ボジョレーヌーボー解禁のやつって美味しくないそうです。

じゃあなんで「新そば出ました」で宣伝してるかというと、ボジョレーのようなイベントみたいなものだと思ってください。
大丈夫です。多くの蕎麦屋さんもそれは理解していますし、そのまま新そば100%では出しておりませんので、新そばシーズンに行ってもちゃんと美味しくいただけるはずです。

そんな中、当店では会津地方の契約農家から夏と秋に蕎麦を収穫します。そこで収穫した蕎麦は保管倉庫で眠らせて、じっくり旨味を蓄えてもらっています。